| ■ 第10章 採集記(番外編) |
| ■交通事故 | 私には、採集にまつわる交通事故の体験が3度あります。思い起こすと、どれも紙一重で生き残っています。幸運なのか、悪運なのか…。そのうちの2度についてお話します。 |
| ■その1 | これは今から2年ほど以前のことです。正確に言うと交通事故ではありませんが、もうちょっとで大惨事、という話です。
某島へ仲間と一緒に採集へ出かけた時のことです。レンタ・カーを借りていざ磯へ。波打ち際近くまで細い道が降りている場所があって、ソロリ、ソロリと車を進め、パーキング。予め買っておいた弁当で腹ごしらえ。着替えてザップン、もう一目散で魚とおっかけっこです。 3時間ほど遊んだ後に、場所替えをしようという話になって、荷物を片づけて車を動かしたのですが… どうも変なのです。車がお尻を振るのです。 「変だな?」 と思いつつも、アクセルを踏むと、車は更にお尻を振ります。と、思うまもなく、ガタンという音とともに、車体が大きく傾きました。慌てて車から飛び出してみると、何と脱輪。目の下は20メートルはあろうかという断崖!私の車は後ろ半分が海に向かって飛び出しているのです!あと一度アクセルを踏んでいたら… とにかく気を落ち着けて回りを見渡してみると、ひ、人がいました。もちろん助けを求めました。その人も車で来ていたので、ロープで引っ張ろうということになり、やってみましたが、う、動かない!それどころか、ますます傾きます。もうほとんど絶体絶命。 今度は近くの民家から4WDを借りてきて再挑戦。しかしこれもうまくゆきません。そのうち、何人かの人が集まってきて、次はトラクタを使うことにしました。(私は恥ずかしいのと、何とか助かりたいという気持ちとが入り交じって、なんだか妙な精神状態でした。) で…………… トラクタで引き揚げる作業を繰り返すこと2時間。私達はやっと助かったのです。 あーーー良かった! 丁重にお礼を述べたのは勿論ですが、そのあと、どうしたと思います?私達は次の場所へ行き、採集を再開したのでアリマス。 あれだけ怖い思いをしながら懲りないなんて、私達は完全に病気です。なは。 言っておきますが、東京に戻ってきてからも、ちゃんとお礼はしましたよ。(^^) |
| ■その2 | 久々に家族と夏休みというわけで、採集に出かけたときのお話。 しかしウチの家族も可哀相なもんです。旅行といっても、みんな「海」方面なのですから。 家内なんぞは、 「山、行きたい。山!」 というのが最近の口癖です。 それはともかく、家族4人で車で出かけました。夜遅くに家を出て、翌朝のことです。なにせ小さな娘がいるものですから、慎重に、休みを適度にとって運転を続けていました。小学校6年の息子が後部座席から、 「お父さん、あとどれくらい?」 と聞くので、 「あと2時間かな?」 と答えたその時です。 前方から来た車が、何の躊躇もないように、ヒューンと私の前に飛んで来るではありませんか!もうブレーキに足を掛けるヒマもありません。そのままガシャーンです。私の左を、息子の姿が通り過ぎました。助手席には、家内と2歳の娘が座っていたのですが…… で、どうなったと思います? 一瞬の静寂の後、我にかえって助手席を見ると、家内が「痛い、痛い!」と唸っています。息子もヒイヒイ泣いています。娘のことが気になります。と、考えるまもなく、相手の車から煙が上がり出しました。とにかく大きな声で, 「逃げろ!」と叫んで車の外へ。 歩道へ家族が逃げたとき初めて、家内も息子も娘も無事であることに気がつきました。もちろんホッとしたことは言うまでもありません。 ところで相手の人はというと、煙の向こう側にかすかに姿が見えるだけで、まったくピクリともしません。とにかく助けなくてはと思い、曲がったドア枠を必死の思いでこじ開けて、何とか車外に出し、安全なところへ寝かせました。 そうこうするうちに、救急車、消防車、パトカーが来てそこら辺は大変な騒ぎ。私達家族も救急車で病院へ…… しかし、不思議ですね。病院で検査したところ、皆軽い打撲で済んでいるのです!相手の人は2ヶ月の重傷、車は2台ともメチャメチャというのに! 原因は相手の居眠り運転でした。 おかげで、私の家族の夏休みは中止を余儀なくされました。沢山の荷物を持って、炎暑の中を帰るときの無念さといったら、表現のしようがありません。 いくら自分が気を付けていても、こういうことって起こるのです。 どうか皆様に同じ事が起こらないよう。 これが家族と乗っていた車。事故2時間後の写真。 助手席の前面ガラスに、後部座席から飛んできた 息子の頭部が激突した跡が見えるだろうか? 家族全員、よくもまあ無事だったものだ。 皆さんも気をつけて・・・。 居眠り運転で突っ込んで来た相手の人は 2ヶ月の重傷で入院したが、示談の際には 「ケガをしたのはオレだ」 と開き直り、結局は謝罪の一言もなかった。 syunさん、まだ怒ってる…… |
| ■車上荒し | 仙台の仲間がはるばると我がホーム・グラウンドにいらっしゃるというので、私が息子、それと新しい仲間(以後Tさんと呼びます)を連れて歓迎OFFへと出かけたのは、99年の私のシーズンも終わりに近づいたある週末のことでした。 Tさんを迎える都合もあって、普段よりは大分遅めに出発をすると、これがまあ高速道路に乗ったとたんに大渋滞。 (早くしないと皆に採られちゃう!) まさかにそんなことはないでしょうが、私は早くも気持ちが急いてしまうのでした。 それでも何とか無事に集合場所の駐車スペースに着いてみると、もうすでに見慣れた車が何台か停まっています。もちろんそれらの車の中に人影は見られません。 (うひゃ!これはマズイ!遅れをとってしまう!) 焦る私は先ず自分の用意を整え、次いで息子の着替えを手伝い、さらに同行のTさんにこの辺りの説明を簡単に行うと、ワサワサという感じで磯へ降りて行きました。 そこにはmさん、Mさんもいらっしゃったのですが、私の気持ちはもう水の中。彼らへの挨拶もそこそこに、また可愛い息子のことも放ったらかしにして行動を開始したのです。 この日は風も波も強くて、コンディションとしてはどちらかというと悪い方でしたが、それでも1時間ほどのうちにトゲやフウライ、サザナミフグをget。この時になって、私はやっと気持ちが落ち着いて来たのでした。 (ああ良かった。Tさんのお土産分はなんとか確保できたぞ・・・) さてそれから仲間と合流して、しばらく遊んだ後のことでした。それまで必死に付いて来た息子が、 「お父さん、寒い、寒いよ!」 とネをあげ始めました。 「車に戻って着替えて良いかなあ?」 彼の唇は紫色になっています。 前述のように、その日は風の強い日でした。それに3mmのウエットでは少し厳しかったかもしれません。そこでキーを渡すと、彼はブルブルと震えながら車の方へと歩いて行きました するとすぐと彼が戻って来ます。 (おや、どうしたかな?) 私が訝しく思っていると、彼は私のそばまで来て小声で囁きました。 「ねえお父さん、車の窓が壊れてるんだよ・・・。」 私は彼が何を言おうとしているのかがサッパリ分かりませんでした。 「壊れてるって?ちゃんとキーがあるじゃないか?開け方知らないワケじゃないだろ?」 私がピンと来ないことに、息子は顔をしかめました。 「違うんだよ!ガラスが割れてるんだよ!」 ここに来て初めて私は悟りました。 「げ、ま、まさか!」 横で話を聞いていた仲間たちも、私たちのただならぬ会話に気が付いたもようです。そこで皆で車を停めた場所に行ってみると、なんと無残にも後部座席の窓ガラスがムチャクチャに割れて、破片がそこいらじゅうに散乱しています。 「車上荒し」でした・・・。 被害はデジカメと、もうひとつ大事なもの・・・。 (財布?へへ、パンツに包んでおきましたからね、さすがの泥棒も、そこまでは気づかなかった!ザマー見ろい!) さて、ここからが面白いところだよ! とにかく警察呼ばなけりゃ!ってことになりましてね。私は携帯で110番に電話をしたんですね。 するとすぐに反応がありました。しかし!要領を得ない! おまわりさん:「現場はどこですか?」 私:「○×ホテルという看板のすぐ脇です。」 (おまわりさん、チットモ分からない風) おまわりさん:「え?どっち?」 (おいおい!地元の警察だろい!) 私が疲れるくらいに説明を繰り返すと、やっとのことで、 おまわりさん:「あ、ハイハイ。だいたい分かりました。これから行きますからね、現場保存お願いしますね。あ、あと、海沿いに立っていてくださいね。わかんなくなっちゃうと困りますからね。」 私:「・・・・・・」 私は、言われたとおりに海沿いのガードレール脇に立つとパトカーを待ちました。しかし、待てど暮らせどパトカーは来ません。ふと自分の車の方を見ると、仲間たちが開いた窓枠に段ボールを張りつけてくれている姿が見えます。 (あああああ、現場保存が・・・。そんなことしちゃ皆の指紋が付いちゃうよお・・・) その時私の目の前を黒いチンケな軽自動車が、パスンパスンと実に頼りなげな音を立てて走って行きました。と、その車は皆が集まっている脇で停まり、そして中からは中年のおまわりさんが・・・。 (何だよ!白黒のパトカーじゃないの?) 私はがっかりでした。 何故かって? 実は私は次のようなシーンを想像していたのです・・・。 私の横を数台のパトカーが、ファンファンファンと赤色灯を点滅しながら猛スピードで通り過ぎ、スピンを掛けて急停車。その中からはグラサンをかけた渡 哲也風のかっちょ良い刑事がライフルを無造作にぶら下げて現れて・・・。 でもそんな贅沢は言えませんね。私は慌てて皆の所に戻りました。 おまわりさん:「あ、あなた持ち主さん?じゃ、事情聴取はじめましょう。」 (ひととおり事情聴取が続き) おまわりさん:「災難でしたなあ。まあ、この辺はよくやられる場所でしてなあ。ホレ足元を見て御覧なさい。ガラスの破片がいっぱい落っこちてるでしょう?これね、前にやられた人のなんですよ。あ、じゃ、ちょっと交番まで来てください。」 私はここで仲間たちと分かれ、交番へと向かったのでした。もちろん「採集」は切り上げです。 それから後のことは省略しましょう。調書を取るって言ったって、さっき話したことと変わりませんし、こちらが被害者であっても「指紋」をとられるという少々気持ちのよろしくない体験をしたわけですからね。あまり思い出したくないじゃありませんか? さて警察に解放されて、 「私に付き合ったばっかりに、面白くないことに巻き込んじゃいましたね。でもしゃあない、帰りましょうか?」 楽しい1日を台無しにしてしまったことを 私はTさんに詫びました。私も熱が冷めてしまっています。いつもならルンルン気分で帰れるのに・・・。まだ陽も高いというのに・・・。 と、寒さからスッカリ回復した息子が言いました。 「お父さん、せっかく来たんだからさあ、岸壁行こうよ、岸壁!岸壁の方が面白いよ!」 そしたらTさんも、 (そうだね!) って顔してます。 ここで私の「採集メーター」の針がグンッと跳ね上がったのは言うまでもありません。 物事は「良い」方に考えましょうってことですね。 息子よ、有難う。Tさんもね、お疲れ様でした。 そして最後に泥棒よ! 大事なデジカメと「眠気覚まし」のサキイカ返せ〜! (99.12.07) |
| ■家族の話 | 私の家族はなかなかに愉快な人間です。彼らのお話を少しだけいたしましょう |
■生うんこ?
カミさんのじゃないよ。 うちの娘のはだかだよん。 おねーちゃんのじゃなくて 残念でした! 娘の笑顔を想像して ください。 |
家族で I 島へ旅行に行ったときの「爆笑物語」です。 格安のパックを見つけて来た家内の労苦に報いるためと、 「飛行機は、どーして飛ぶの?」 という愛娘の疑問を解決するために、私は I 島旅行を決心しました。というのは「屁理屈」です。多少は、 (珊瑚礁の海を見せてあげたい) という気持ちはあったものの、ほとんど私のわがままです。 ともかく、まもなく本州が梅雨入りしようという頃、家内、長男、長女、そして私の家族は、 I 島へと飛び立ちました。 天候にも恵まれ、生まれて初めてみる珊瑚礁の海に、娘は大喜び。水着も付けないでバシャバシャ遊びに夢中です。家内の方も、島内に咲き乱れる赤や黄色などの花にうっとり。長男に至っては、腰くらいの深さで、これまた初めて目の当たりにするカクレクマノミとハタゴイソギンチャクの共生に大感激。みんな大満足です。 さて、東京へ戻る日のことです。 今度来れるのは何時のことになるのか分かりませんから、私たち家族は島内のまだ見ていない場所に行ってみようということになり、道路に看板が出ていた「熱帯植物園」に立ち寄ってみることにしました。 園内に入る手前には「茶店」のようなものがあって、アイスクリームやジュースの立札がならんでいたのですが、そのうちの一つに目の行った家内が、とんでもない!というような顔つきをして叫びました。 「た、大変だ! こ、この島では、う、うんこを売っている!」 家内が指差す先を見てみると・・・。確かに、 「生ウンコあります。」 と書いてあります。 これには私も仰天。 (しかし、この島ではうんこを何に使うのだろう?) なんてことを一瞬のうちに考えたりしたのです。 でもよく考えると、どうもおかしいです。仮にそれが家畜の糞で、燃料として売られているにしても、まさかに植物園に商品として置いてあるワケがありません。で、その立札に近寄って、よくよく眺めてみると・・・・・・、なんと私と家内が「うんこ」と読んだものは、実はそうではなくて、「ウコン」であったのです。そうです、お茶として飲んだり、香料として利用される、あの難しい字の「ウコン」だったのです。 しばらくの沈黙のあと、茶店の中には私たち夫婦の笑い声がこだましました。ああ、なんという早とちりなのでしょう!幸いにもお店の中には店員さんさえおらず、私たちは存分に笑いつづけることができましたけれど・・・。(まだ片言の長女は、なんのことやら?と不思議そうに見ていました。)それから家につくまでの間に、私たちは何度「思い出し笑い」をしたことか。 しかし、漢字で書くとあんなに奥ゆかしいのに、カタカナで書くと実にお下劣なものに間違われてしまうなんて、まったく人騒がせな「ウコン」です。 |
| ■息子の笑顔 | 私には中学2年の息子がおります。この息子、小学校低学年くらいまでは、こちらから誘うまでも無く、
「おとーさん、今度海いつ行くの?」 なんて、実に頼もしいことを言って私を大いに喜ばせてくれていたのですが、今じゃバス釣りにハマッちゃって、海の魚になんかちっとも興味を示してはくれません。 背丈も靴のサイズも母親よりも大きくなり、パンツなんか私が間違えて穿いちゃうほど。お風呂だってつい最近まで一緒に入っていたのに、何時の間にか別々です。 (こりゃあ、ポコチンに毛でも生えてきたか!いっちょ、からかってやるべぇ!) 悪戯気を出した私が、 「おいT彦、埼玉県はナ、ポコチンに毛が生えたら市役所に届けることになってんだから。もう生えてんだったら、早く言うんだぞ!」 なんて言ったところ、 「馬鹿なこと、言ってんじゃねーよ!」 と軽くあしらわれる始末。すっかり可愛気のない少年になってしまったのです。 さてある日のこと、そんな息子が珍しく、 「お父さん?今度お父さんが海に行かない日に、○○園に連れて行ってくれないかなぁ?」 と、たのみ事をしてきました。○○園というのは、ちょっと自転車で!というわけには行かないところにあるブラック・バスの釣堀です。友達と約束をしたので、そこへ車で送迎して欲しいというのです。普段はガミガミ怒ってばかりのお父さんですが、やっぱりこういうお願いは父親にしなければならないと、ちゃんと知っているんですね。 でもここで、よっしゃよっしゃ!と軽軽に返事をしてはいけません。ちょっともったいぶって、 「仕方がない、今日はたまたまヒマだから連れて行ってやるか?」 こうでなきゃ、またナメられてしまいますからね。 それはともかく、ただただ真っ直ぐな農道を車で行くこと約30分。目的地に着いて、息子達を降ろした時のことでした。 「ありがとう!」 の一言もないことに、またまた腹が立ち始めた私なのですが、ふと息子の顔を見やると、普段私が見たこともないような、実に嬉しそうな「目」をしていることに気がつきました。わざとしているのではなくて、何だか体の中から、嬉しさがじわじわと滲み出てくるかのような、そんな雰囲気なのです。 そのとき私は次のように感じました。 (ああ、この子もこんな嬉しそうな顔をすることがあるんだ!実に好い顔つきをするんだなぁ!) そして続いて思ったことは、 (もしかして、海に行ったときの自分も、こんな顔をしているのかも?) ということでした。 興味を感じた対象、やっていることがそれぞれ違っていても、「楽しい瞬間」、「嬉しい瞬間」ってみんな本質は同じなんですよね。 急に息子が身近に戻って来たような気がして、私はスッカリ嬉しくなってしまっているのでした。 (99.05.17) |