サイパン島遠征記(2005) -1- 

 記憶が薄れないうちに、サイパン島での出来事を記しておきます。


 キタマクラ属の一種(Canthigaster sp. 上の写真)について。

 ヨットハーバーの水面、しかもほとんど岸近くに、ひじょうにたくさんの数が屯しておりました。まあ以下のような感じですが↓、こうしたシーンが距離をおかずにあちこちで見られたわけです。


 で、気持ちとしてはサクッと掬いたいところですが、横に掲げられた看板↓のとおり、


付近は魚釣り採集もFISHINGに含まれます)、遊泳厳禁とありますし、実際通りかかった地元当局らしき職員のかたに「コレコレ、タトエ研究トイエドモ、スクッチャだめダヨーン」と軽くたしなめられましたから、観察と撮影だけにとどめておきました。

 その後場所を移動。適当なリーフ内をスノーケリング中にも、そこかしこで出会えました。こっちでいえば、それこそキタマクラみたいな存在なのでしょう。リーフ内はかなり流れが強く、体を持っていかれそうになったりもしましたが、じっくりと観察することができました。ヨットハーバーと違う点は群れていないこと。隠れ場所が豊富に存在するリーフ内では、群れるという行為自体が不要なのかもしれませんね。

 腹部はオレンジ、その他は黒褐色で、体全体に鮮やかな水色のスポットが点在するとても美しいフグです。一見した限りでは、本州沿岸でも見られるシボリキンチャクフグ↓


に似ていますが、どっちが美魚か?とたずねられたら、やはり本種に軍配を上げざるを得ません。

 しかし、こうした角度で見ると、モンガラカワハギの幼魚っぽい雰囲気がしないでもないですね。

(07.06.14)


採集ギャラリー・泥海篇

 先日訪れた某島でのことです。

 内湾の最奥部に広がる泥海に、先を歩む仲間とハゼの姿を求めて浮かんでおりますと、水深50cmほどの水底にあいた穴から顔を見せたのは「ハゴロモハゼ」。決して派手ではないものの、背ビレをピンとのばした格好がとてもスマートな、汽水性の共生ハゼですね。しかしこやつ、やたらに警戒心が強く、人の影を察すると、あっという間に棲家の穴に逃げ込んでしまいます。もちろんこのときも、二人の気配を感じるや、泥煙を残して穴の奥深くに引っ込んでしまったのでありました。

 で、こういう場合はどうするかというと、ひたすら相手が出てくるのを待つしかありません。ところがそこは泥海。下手に動くとモヤがかかったようになり、ただでさえ悪い見通しがいっそう悪くなってしまいます。やむなく身体を動かさないよう、ぷかぷかと浮いて待機するわけですが、さてそこに現れたのは小さな男の子と、そのお父さんらしき人物でした。

 といっても、私は彼らの姿を見たわけではありません。なぜなら視線はハゴロモハゼが隠れた穴に釘付け。しかも動けないときています。
 (誰かが現れたぞ!)
 と感じたのは、
 「お父さん」
 とか、
 「おい、○男」
 といった、親子連れと思しき会話が耳に入ってきたからなのですね。たぶん釣りにでもきたのでありましょう。

 で、ここからが笑い話なのでして、それは次のような有様だったのでした。

 ○男:「あ、お父さん!ね、ね、見て!ひ、人が浮いてるよ!」
 お父さん:「お、ほ、ほんとだ!」
 水に浮かぶ私:(や、やだなあ・・・。こんな恥ずかしい格好・・・)

 ○男:「なにやってんだろ?でも変だよね。だって全然動かないんだもん・・・」
 黙って水に浮かぶ私:(大きな声出すなって!ほっとけよ〜!もうすぐでハゼが出てくるんだから!)
 
 しかし○男クンは続けます。
 ○男:「ね、お父さん?もしかしてあの人たち、死んでるんじゃない?」
 
 私は水に浮かんだまま、思わず吹き出しそうに・・・。極めつけは、出てきそうになったハゴロモハゼに反応して、ちょっと身体を動かした私を見た○男クンの叫び声でした。

 「あ、動いた!生きてるよ、お父さん!」
 だって・・・。

 というワケで、採集ギャラリーには慣れっこの私でしたが、今回ばかりは大弱り。なんせ死人に間違われてしまうのですから。
 
 泥海に浮かぶときは、看板を立てておかないといけませんかなあ?
 「ただいまハゼの観察中。決して110番をしたり救急車を呼んだりしないでください。」
 なんてね。

(04.04.17)


ウェットに始まり、作業着で終わる

 2003年の総括「ハゼに始まりハゼに終わる」を書いていたら、ひとつ気がついたことがありました。今回はそこのところを書いてみましょう。

 今年は「採集ガイド・ブック」という大きな目標に向けて、春から遠征に出ずっぱり。海では当然ウェット・スーツを付け、採集・観察・撮影活動を展開するわけですが、ネがズボラなもんですから、帰ってきても荷物を解いて濡れたウェットを片付けるのが億劫で、ついそのまんまに・・・なんてことがよくありました。ヒドイときには翌週そのまま遠征に出かけちゃって、向こうで着たはいいが、これがまあものスゴい悪臭で、
 「は、ハナがもげる〜!」
 と辟易することもしばしば。

 そこで、
 「いくらなんでも、これじゃあまずいよなあ〜」
 と、古いウェットとのローテーションで着用するようにしたら、出発前の準備も、帰ってきてからの後片付けもスムースにできました。加えて長持ちもするみたい。ウェットといえば商売道具。粗末に扱っちゃ罰があたります。それに貧乏採集家にはおいそれと新調するだけの経済力もありません。もっと早くにローテーション制にしとけばよかったと悔やむことしきりなのですね。

 さてシーズンも終わり、1年間お世話になったウェットにお礼を言いつつ、フィギア作りに精を出していたときのことでした。
 まったく驚くべきことに、葛西臨海水族園でのフィギア販売が絶好調。最初の頃はチマチマながらもできていたものが、応援を頼まないと納期に遅れそうな気配に、さあどうしようか?と慌てふためいていたところ、
 「んじゃあ、ボクが手伝いましょう」
 と名乗りを上げてくれたのが、マメチ・プロの助手をしてくれているW君。早速に車を飛ばして駆けつけてくれたのです。

 で、我が事務所ならぬ作業場に到着するやいなや、かのW君、やおらチャックを下ろしてズボンを脱ぎ始めるではありませんか。
 さあ、これに慌てたのは私。
 「おい、こら!こっちはモーホー趣味など持ち合わせてないぞい!」
 と思わず身体を引こうとしますと、気持ちを察してか
 「あ、ダイジョブです。作業をするには『作業着』ですよん。」
 と答えながら着替えを続け、しばらく後には鮮やかなブルーの『つなぎ』姿に大変身!

 なるほど、梱包やら何やらの作業を考えますと、たしかに作業着は機能性バッチリに見えます。そこで私はW君に持ちかけたのですな。
 「あのさ、この近所にさ、『ワークマン』みたいなのあるからさ、ちょっと買いにいかないかい?」
 
 そうして手に入れたのがグレーとグリーンの作業着。ためしにグレーを着てみますと、気分一新ふたたびやる気が出てまいりまして、それからの作業のはかどること!やっぱりシチュエーションに応じた格好って必要なんですね〜。ただひとつ困るのは、あまりに便利過ぎて、着たきりスズメになっちゃうことかしら?だって最近、これが普段着になっちゃってるんだもの・・・。

 ところで、なんで2着買ったかっていうと、そりゃもちろん、ローテンションのため。そうウェットスーツとおんなじですね。というわけでウェットに始まり、作業着で終わったこの1年でありました。

 ちなみにsyunさんの作業着姿をご覧になりたい方は、来年1月発売のビーパルをお買い求めください。凛々しい姿を拝めますぜ〜。

(031208)


打ち合せ帰りの路上考現学

 ちょっくらお魚がらみで打合わせがありまして、その帰りに神田方面へ寄り道しましたところ、面白い建物をめっけたのでご紹介。

 

 「とうきょうこんにゃくかいかん」だって。
 このビルの中って、こんにゃくだらけなんでしょうか?そんなわけないですよね。すくなくともグニャグニャの建物ではなかったすよ。

 きっと業界団体かなにかのビルなんでしょうが、だったら「蒟蒻製造組合東京事務所」とかにしたほうが良かないかい?

 それにしてもですね、すぐ近くには緑青まみれの銅板ぶき家屋や「ミルクホール」なんかがあったりして、神田って面白い街だったんですね。あ、やぶそば食いたくなってきた!

(03.02.20)