----- 黒豆 … サザナミフグ -----


 僕が「黒豆」と呼んでいる魚がいる。

 サザナミフグは本来は熱帯の魚で、南の島への遠征機会の多い僕も、実際良く目にすることがある。

 一方で、死滅回遊をする魚として採集愛好家には御馴染みの種だ。
 季節は初夏から晩秋にかけて、漁港のコーナーやタイド・プールに大きさ1cmにも満たない幼魚が、ポツンと浮いていたりする。

 さて、その浮かんでいる様というのがまたひどく珍妙。
 全身黒一色だから、ちょっと見にはコールタールの固まりか、木屑のように見えてしまう。ちゃんと尾ひれがあるのだけれど、器用にたたんで身体にくっつけているので、丸っこさが余計に強調され、黒豆そっくりに見えるのだ。(尾ひれをたたんで身体を丸く見せる仕種は擬態の一種だという説がある。たぶん木の実かなんかになりすましているつもりなのだろう。)

 もっと可笑しいのが摂餌(せつじ)の様子だ。
 餌をポイと投げ込んでやると、スーッと近寄ってきてパクッとやる。この時黒くて丸い身体の一部(口)が小さく割れて、瞬く間に飲み込んでしまう。与えた餌が吸い込まれるように黒い物体の中に消えて行く様子は、なんとも例えようのない不思議な光景である。



 
はいどうぞ。サザナミフグの幼魚です。ドッチが頭だか、分かりますよね?

 この黒豆君、動作ものろくて採集はいたって簡単。
 どうですか?海水浴の帰りにでも、漁港のコーナーを覗いてみたら。

Vol.15
02.03.28



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