----- 藻場の忍者 … ミミイカ -----

 僕の大好きな本に、加藤 真さんの書いた「日本の渚」(岩波新書)という本があります。

 砂浜から干潟、サンゴ礁といった日本の渚の様子を、大変に美しい文体で描写されたもので、文字を追っているだけで、葦の騒ぐ音や波の音(ね)が聞こえてきそう。僕はこの本を名著だと思っておるのでありまして、枕もとに置いて、いつもいつも読み耽っているのです。

 とりわけ好きなのが、アマモ揺らめく渚を描いた部分。読むたびに、M半島の「あの場所」へ行きたくなってしまうのでした



「あの場所」は、だいたいこんな感じ


 というようなわけで、行ってきましたその渚。

 白い砂とアマモの緑。その群落の切れたあたりには、朱色の「チャガラ」というハゼが、群れをなして漂っています。目を凝らして見ると、保護色をしたモエビがいたりして・・・。
 ガザミ(カニ)の大きなのや、ときにはドチザメの稚魚が現われて、一瞬ヒヤリとしますが、静寂さの漂う中にも種々雑多ないきものの気配がして実に面白い。
 
 「やっぱりこの季節は藻場に限るわい!」
 なんて思いながら足元を見ると、現われたのは輪郭をヒラヒラと震わせながら漂う黒い物体!条件反射か、持っていた網で掬ってみると、ああなんとミミイカ君。

 普段は忍者よろしく砂に埋もれて隠れているのが、私のたてる水音に反応して、逃げ出そうとしていたのでしょう。それにしても可愛いなあ・・・。



ミミイカ チョコベビーのケースの中
たしかに黒ずくめの忍者のようではある。

 
 何時行っても、どこに行っても、海はやっぱり面白いのです。

 
 
Vol.22
02.06.01



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