----- 立ち泳ぎ … ヘコアユ -----


 魚というのは、身体を水平にして泳ぐが普通だが、中には変わり者がいて、立ち泳ぎをするやつがいる。「ヘコアユ」がそれだ。漢字で書くと、たぶん「兵児鮎」となるのだろうが、鮎とは書いても真水の魚ではなく、れっきとした海水魚。主に南方に生息している。

 随分前のことだが、某島で息子と磯遊びをしていたら、海面表層部を漂う変な物体を見つけた。海草(うみくさ)である「アマモ」の切れ端のようにも見えるそれは「縦」の状態のまま、一点で留まっていた。細波が立っても動かない。不思議に思って掬ってみたら、なんとヘコアユの稚魚だった。サイズは3cmほどのものだった。

 それから数年後。やはり息子と、今度は違う島の漁港を覗いていたら、眼下にヘコアユの大群がいた。皆、下を向いてジッとしている。僕と息子は目配せをして網を水中に入れた。すると面白い。かのヘコアユ君たち、群れのまんま、立ち泳ぎで逃げ出したのだ。

 僕は慌てて網で追った。と、今度はスピードを上げて、頭をやや上向きにして逃げた。その姿を見て息子が言った。

 「あは、おとうさん、コンコルドだね。」

 確かに・・・。
 僕は苦笑いを浮かべながら、ヘコアユを追いつづけたのだった。



別の機会に捕まえたヘコアユ。みんな下を向いている。小さ目のものだけをセレクトして、あとはお帰りいただきました。

 


分かりづらいといけないので、横向きの絵をご紹介。横にしちゃうと、「サンマ」みたいですね。




Vol.8
02.01.31



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[5 砂に潜って寝る魚…ベラ]
[4 イガグリ ハリセンボン]
[3 海のハムちゃん…ダンダラスズメダイ]
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[1 これでも魚?…ミナミトビハゼ・タマカエルウオ]