----- いかにも熱帯魚 … ハタタテダイ -----


 熱帯魚というと、多くの人はエンゼルフィッシュを連想するに違いない。TVなどにも良く出てくる、背鰭が長くて、とてもスマートな淡水魚だ。

 実は海にも似たような魚がいる。ハタタテダイという魚がそれ。タイといっても食べる鯛ではなくて、チョウチョウウオの仲間で、古くから多くのマリンアクアリストに親しまれている。

 2001年の夏に仲間と外房に行ったときのことだ。
 いつも寄る漁港には、沢山の釣り客がいた。僕らは網を片手に、彼らの邪魔にならないよう、水面を覗き込みながら進んだ。
 と、仲間の声がした。
 「あわわ、syunさん、い、いる!」 
 指差す先には、ハタタテの赤ちゃん。岸壁に寄り添うようにして、何かをついばんでいる様子である。早速作業分担をして、釣り客の目を気にしつつ捕まえたのが下の子だ。



ハタタテダイの赤ちゃん。僕らは略して「ハタタテ」と呼ぶ。英名はBannerfishで、見たまんま、という感じ。
 
 こういう、いかにも熱帯魚然とした魚が採れてしまうと、採集歴30年のこの僕も、まったく嬉しくなってしまう。だが、僕にはもっと嬉しいものがある。それは喜ぶ仲間の笑顔だ。彼らの目はいつも、何か新しいものでも発見したように輝いている。邪気がなくて、まっすぐなのだ。
 「ほんとにいるんですねえ。」
 誰もが洩らすその言葉は、きっと本音なのだろう。
 
 やっぱり僕は採集をやめられない。

Vol.9
02.02.07



採集家syunさんの公式サイト


----- Back NO. -----


[8 立ち泳ぎ…ヘコアユ]
[7 逆パンダ…スミツキベラ]
[6 Yellow dies…ミナミハコフグ]
[5 砂に潜って寝る魚…ベラ]
[4 イガグリ ハリセンボン]
[3 海のハムちゃん…ダンダラスズメダイ]
[2 これでも魚?その2…ツバメウオ]
[1 これでも魚?…ミナミトビハゼ・タマカエルウオ]